leemiyeonのブログ

在日韓国人です。10歳の事故で今は車椅子ですが、楽しく生きたいをモットーに日々奮闘しています。

表現の自由

憲法第21条第1項 集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。

 

自身が専攻していた法学の話になるが、日本国憲法第21条で上記「表現の自由」が保障されている。

 

IT技術にて情報通信手段が極めて発達してきた現代においては、SNSTwitterを通じて、顔が見えない相手にいくらでも不適切な、侮蔑的な、猥褻的な表現行為をすることができるようになった。昔は、直接相手に向かって発言する、ないしは文章(手紙や新聞等)、電話しか手段がなかったのだから。

 

私が憲法21条を勉強した時、この表現の自由は絶対無制限に保障したものではなく、「公共の福祉のため必要かつ合理的な制限を是認するものである」との最高裁判例が出ていることからも、どのような表現行為も全てが許されるものではないと学んだ。

 

ヘイトスピーチが話題になって久しいが、このヘイトスピーチも表現行為だということで、「大阪市ヘイトスピーチへの対処に関する条例」が表現の自由を保障する憲法第21条第1項に違反するかどうか等が争われた(大阪地方裁判所・令和2年1月17日判決)。

この条例は、大阪市区域内で行われたヘイトスピーチについて、市長が拡散防止措置を講ずることやヘイトスピーチを行った者の氏名等の公表をすることなどを定めていたもの。裁判では、そもそもこれらが表現の自由の制限に当たるかも争点となったが、大阪地方裁判所は、これらの条例の諸規定が表現の自由を制限するものであると認定した上で、その制限は、「公共の福祉による合理的で必要やむを得ない限度の制限であり,容認されるものである」と判断した。大阪地方裁判所は、その理由として、①条例の目的が、名誉の保護や特定の民族等に対する偏見や差別意識等が助長されることなどの抑止等にあり、「合理的で正当なもの」であって、条例の定める拡散防止措置等によりヘイトスピーチを防止する必要性が高いこと、②拡散防止措置等は、表現活動が行われた後になされるものであり、制裁を伴うものでもなく、プロバイダ等に対してヘイトスピーチを行った者の氏名の開示を義務付ける規定もない上、市長が拡散防止措置等を講ずるに先立って学識経験者等により構成される附属機関に対して当該措置等を講ずることの合理性について諮問されることが予定されていること等を挙げている。

上記の判決からすると、表現の自由が保障されている=ヘイトスピーチが許されるとか、制限を受けない、ということにはならない。表現の自由を保障している憲法は、第13条前段で「すべて国民は、個人として尊重される。」とも定めている(いわゆる個人の尊厳)。自分と異なる属性を有する者を排斥するような言動は、個々人が尊重される社会にはふさわしくはないのであって、ヘイトスピーチはあってはならないということになるが、現状、自身が経験する毎日の出来事に、朝鮮韓国人ないしは障害者を差別する言葉や表現を目にしない日はないに等しい。

 

どうしてそんなに目の敵にしたがるのだろう。やはり以前私がブログにも書いた、人間は他者と比較して自分が優位に立っているということを肌で感じながら、安堵や優越感に浸りたい生き物なのだろうか。私は、小さい頃から差別にあっていることで、ただただ純粋な気持ちで、仲良くなれないものなのだろうか、仲良くなりたいのに...とも書いたが、人間の本質は、現在も地球上のどこかの国で必ずと言っていいほど起きている戦争がとどまることを知らないように、醜くも、争うのが好きな動物に見える。

 

私は、それでもこの国に(もちろん韓国にも)、そして人間に絶望したくない。